小山敬三美術館の建物について
小諸市立小山美術館は、洋画家小山敬三(1897-1987)が自身の作品と建物を故郷の小諸市に寄付して設立されました。小山は設計を建築家村野藤吾(むらのとうご1891-1984)に依頼しました。村野は画家の作品と風土に合った建物を考え、1975年に千曲川を見下ろす懐古園の一隅に美術館が完成しました。この美術館は小さいながらも村野の代表作の一つとなり、1977年に毎日芸術賞を受賞しました。絵画だけでなく、建築を見に来られるお客様も多くおられます。

木立の中の美術館
「私がまず考えたのは、堂々とした美術館にしたくないということでした。木立の中に何気なく建っているという美術館にしたかったんです」(村野談)

玄関
「一度、ある方から『玄関が貧弱ではないか』と言われたことがあります。私はそれを聞いて『わが意を得たり』と思いました。これが私の狙いだったのですから。・・・小山先生のお人柄を知っていただくのに、厳しい玄関でお客様を迎えることは相応しくありません。よく外国にありますような、小さな街にとけこんで大切にされている、親しみのある美術館にしたかったのですから」(村野談)
故郷に贈る美術館
「私はかつて滞欧中、スペインの国境近くのバイヨンヌの美術館を訪れた。それはレオン・ボンヌというアカデミーの大家が自分の作品や古代美術のコレクションを市に寄贈したものだった。一美術家の故郷に対する記念の贈りもので誠にすがすがしいものだ。この時、私も故郷小諸に何時の日か、このような恩返しができるといいと思った」(小山敬三の自伝「来し方の記」より)
展示室
第一展示室には小山の代表作が展示されていて、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。村野は土地の傾斜をそのまま生かして、床面を奥に向かってゆるやかに下らせています。奥の壁面は大きくなり、大作が掛けられています。

ラウンジ
ラウンジ(休憩室)からは小山が子供の頃泳いだ千曲川が見下ろせ、晴れた日には北アルプスを望むことができます。小諸眺望百選に選ばれている絶景ポイントです。
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東側壁面
村野の作品の多くに見られるうねるような壁面は、地面から生えたように立ち上がり、陽の位置によって影がその上を刻々と動いてゆきます。村野は構想を練るにあたって粘土模型をつくり、イメージを固めました。

収蔵作品と来館者の増加に対応するため、当初の第一展示室に加えて、設計者の意図に配慮しつつ、第二展示室とラウンジ(休憩室)が増築されました。
昭和50年(1975)10月26日竣工
設計・監督 村野藤吾
設計・管理 村野・森建築事務所
施工 北野建設株式会社
構造 鉄筋コンクリート造り
規模 地上1階
面積 208.67 m2
平成元年(1989)第二展示室増築
設計 村野・森建築事務所
施工 北野建設株式会社
面積 34.06 m2
平成11年(1999)ラウンジ(休憩室)増築
設計 小諸市
施工 北野建設株式会社
面積 22.01 m2
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小山敬三美術館
〒384-0804
長野県小諸市丁221番3(懐古園内)
電話:0267-22-3428 ファックス:0267-22-3428
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更新日:2020年05月08日