公民連携による水道事業運営に関する問答集(Q&A)

公開日 2018年03月26日

最終更新日 2018年04月19日

 小諸市が検討を進めている公民連携による水道事業運営の基本方針について、使用者の皆さんが疑問や不安に思われる点を一問一答形式でまとめました。

Q1:現在の市役所直営ではなぜいけないのか?
Q2:公民連携以外に方法はないのか?
Q3:民間企業に水道事業を任せて大丈夫なのか?
Q4:公民共同企業体ってなに?
Q5:公民連携になると何が変わるのか?
Q6:パートナー事業者ってなに?
Q7:同様の手法を実施している事業体はあるのか?
Q8:将来的に民営化するつもりなのか?
Q9:水道料金の値上がりにつながらないのか?
Q10:これまでどう取り組んできたのか?
Q11:公民連携で水道事業の問題は解決するの?
 

Q1:現在の市役所直営ではなぜいけないのか?

 現在の市役所直営で経営を継続できないわけではありません。しかし、小諸市の水道事業は全て市役所職員の出向で行われているため、市役所職員数の減少に伴い人員の確保が難しくなってきています。全体的に職員の経験年数も下がってきていることから、将来的に業務に必要な技術や経験を維持していくことが難しくなってきています。
 さらに、今後は経年化が進む施設や管路の更新についても、水需要や地域別の給水人口の動向、配水系統や施設の稼働率など複合的な調査・分析を行ったうえで、統廃合やダウンサイジングを含めた効率的な計画を立案し実施していかなければならず、これまで以上に高い専門性と技術力が求められています。
 こうした職員を現在の体制下で確保・育成していくことは非常に難しい状況といえます。また、水道事業は独立採算制のため独自に職員(プロパ職員)を雇用することも可能ですが、年齢や経験年数を平準化させる必要性があることから、基本的な体制が整うまでに10年以上を要するものと考えられます。
 また、人口減に伴う給水収益の減少も見込まれることから、水道事業に精通したスペシャリストを育成し、業務の効率化を図っていく必要があります。

 

Q2:公民連携以外に方法はないのか?

 給水収益の減少や施設更新などの問題は、多くの水道事業体が抱える共通の課題であり、その根本は「財源(事業費)の不足」です。しかし、水道事業は公共性が高いこともあり、容易に料金値上げを行うこともできません。
 こうしたことから、有効な対策として考えられているのが「広域化」と「公民連携」です。
 「広域化」は合併や統合などで事業範囲を拡大し、スケールメリットにより事業の効率化を図る方法で、市町村合併の水道事業版と考えていただくとイメージしやすいと思います。ただし、広域化は事業者間における様々な相違点(料金・サービス等)を調整し統合していく必要があり、実際には「市町村合併等に伴わない水道事業の広域化」は非常にハードルの高い対策と言えます。また、統合にあたっては段階的に料金やサービスを統合してくケースが多く、実際に料金が上がり始めた段階でトラブルが発生するなど、新たな問題が発生する可能性もあります。
 しかし、人口減少が見込まれる状況において、スケールメリットを生かした運営方法が有効であることは確かであり、施設管理や一部の業務を広域化する「広域連携」について近隣事業体と検討を進めています。
 ただし、いずれの方法(市直営も含む)を選択したとしても、将来的に給水収益が減少する見込みに変わりはなく、厳しい経営になることが予想されます。しかし、市直営の場合、不足する財源は全て水道料金の値上げで補うしかありませんが、公民共同企業体の場合は、広域連携による業務受託や新規の水ビジネス等で一定額を補える可能性があります。

 

Q3:民間企業に水道事業を任せて大丈夫なのか?

 ライフラインのうち、原則として行政が事業主体として運営を義務付けられているは水道事業だけで、既にいくつもの事業体が公民連携による事業運営を展開しています。しかし、通常の民間企業に委託した場合、収益性などが悪化すると事業から撤退する可能性もあり、また、行政側が水道事業の運営に関するノウハウや技術を全て失ってしまうと、事業や費用について民間企業の「言いなり」になってしまう可能性もあります。
 このため、小諸市では行政と民間が出資し設立する「公民共同企業体」(第3セクター)を設立し、市からも職員を派遣し業務を行うことによって、水道事業における公益性の確保を図ると共に、行政側にも必要最低限のノウハウを残せる方法を選択しました。
 形態はあくまで民間企業(株式会社)ですが、行政が直接関与していますので、民間の動向に対し抑止力を働かせることもできます。

 

Q4:公民共同企業体ってなに?

 公民共同企業体とは、行政と民間が出資し設立する企業で、いわゆる「第3セクター」のことです。ただし、従来の第3セクターの多くが行政主導型であったのに対し、水道事業における公民共同企業体の多くは民間主導型になっています。かつては、第3セクターによる様々な事業の失敗が全国的な問題となりましたが、それらの多くは「民間の事業を行政主導」で行ってきたもので、今回小諸市が実施を検討している公民共同企業体による運営は「行政の事業を民間主導」で行うものであるため、従来の第3セクターの発想とは真逆に位置する組織となります。
 小諸市の水道事業における公民共同企業体は、行政と民間企業の持つ技術とノウハウを融合させ、これまで以上に効率的な事業運営を目標とする組織となりますが、水道事業が公益性の高い事業であることから様々な制約も必要となります。このため、事業の運営面においては民間企業のインセンティブが働きやすい状況を確保しながら効率化を図り、経営面においては民間企業が営利優先に走らないよう行政が歯止めを利かせる必要があります。また、短期的な損益だけで撤退できないよう一定期間は株式を第三者に譲渡できない譲渡制限会社とすることが一般的です。
 公民共同企業体は、民間企業であることから近隣事業体からの業務受託なども可能であり、広域連携の「受け皿」として事業の効率化を図ると共に、地域の技術力維持にも期待ができます。こうしたことから、小諸市では平成31年度からの指定管理を目標に検討を進めています。

 

Q5:公民連携になると何が変わるのか?

 水道事業の事業者は小諸市のままです。窓口や検針・徴収業務、施設の維持管理などの日常業務をまとめて公民共同企業体へ委託するもので、公民連携により料金やサービスが変わることはありません。基本的には業務を行う人(場合によっては場所)が変わるだけです。
 専門性を高めることで業務の効率化を図ることが目的であり、例としては、機械設備等の資格を有する社員を雇用したり、パートナー事業者から派遣してもらうことで、日常の点検や整備に関する委託費を削減でき、故障などが発生した場合も迅速な対応が可能となります。また、そうした社員を育成していくことで組織全体の業務効率と技術力を向上させ、緊急時等においても特定の職員に負担の掛からない組織作りが可能となります。
 なお、水道事業における住民(使用者)サービスはもちろん、地域貢献などへの考え方もパートナー事業者を選定する際に大切な選考基準となりますので、基本的にサービス等は現在よりも向上するものと考えています。

 ※料金の改定等は公民連携に関わらず、小諸市上水道事業基本計画に則った施設の更新状況等により判断することになります。

 

Q6:パートナー事業者ってなに?

 パートナー事業者とは、行政が公民共同企業体を設立するための「相手」の企業等になります。公民共同企業体は、小諸市とパートナー事業者が出資して株式会社を設立し、「従業員」も双方から派遣することになります。
 一般的に行政の出資比率が高いと「行政主導型」、民間の出資比率が高いと「民間主導型」の企業となり、小諸市では、民間の経営ノウハウ等が十分に発揮できるよう民間主導型の公民共同企業体を検討しています。
 パートナー事業者は単独企業に限らず、複数の企業の集合体(JVやSPC)などのケースもあり、それぞれの企業が得意な分野を受け持つといった方法もあります。
 一般的に募集・審査はプロポーザル方式となり、パートナー事業者としての資格審査に通った企業が提案書を提出し、パートナー事業者としての審査を受けることになります。審査は専門家等を交えて行われ、公民共同企業体の経営方針、採算性なども審査対象に含まれます。
 このため、応募した企業が複数あったとしても、審査に通る企業がなければパートナー事業者は決定しません。(応募が1企業の場合でも、無条件でパートナー事業者になるということはありません)
 パートナー事業者が決定しなかった場合は、従来どおり小諸市の直営による運営を継続することになります。(再募集を行うかは状況によって判断します)

 

Q7:同様の手法を実施している事業体はあるのか?

 全国的には、既に広島県、群馬県、福岡県などの事業体で公民共同企業体を設立し、実際に水道事業に関わる様々な業務を行っています。しかし、それらの多くは給水人口が10万人を大きく超える大規模事業体で、小諸市のような小規模事業体で実施している前例はありません。
 小諸市では、以前から公民連携による取り組みに着目していましたが、この取り組みには「相手」が必要であり、行政単独では十分な研究や検討ができないといった問題がありました。幸いにして民間企業との共同研究や厚生労働省の支援事業により一定の検証ができましたので、実施に向けた取り組みへと進めることができました。
 規模的には全国初の取り組みとなるため、当初は至らぬ点もあると思いますが、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

 

Q8:将来的に民営化するつもりなのか?

 水道事業の事業主体はあくまで小諸市ですが、行政だけでは技術や経験を蓄積させることが難しくなってきています。また、効率化のためには新しい技術などを積極的に導入していく必要もありますが、職員が一定期間で入れ替わってしまう現在の状況では情報収集能力にも限界があります。こうした、行政の「弱点」を補ってもらいながら新しい運営方法を確立していくのが小諸市における公民連携の考え方ですので、水道事業を民間企業に「丸投げ」するようなことは今後もありません。
 小諸市が作成した「小諸市における公民連携による水道事業運営の共同研究結果報告書」においては、最も効率的な手法としてコンセッション方式(公設民営化)を最終目標としました。事業効率だけを考えた場合、最も少ない費用と職員数で運営が可能な方法といえますが、事業の大部分を民間が運営することとなりますので、Q3同様に行政側に事業運営のノウハウが残らなくなる可能性があります。こうしたことから従来の民間企業にコンセッション方式で委託することは現実的には難しいと考えられますが、公民共同企業体であれば、運営だけでなく業務にも行政が関わっていますので、将来的には現実的な手法になると考えられます。
 小諸市が目標としているのは「水道事業の民営化」ではなく『公益性を保った「将来も持続可能な水道事業」の実現』であり、そのための有効な手法として公民共同企業体の設立を選択しました。

 

Q9:水道料金の値上がりにつながらないのか?

 料金水準等の決定は、水道事業者である小諸市が引き続き行います。小諸市は公民共同企業体に対し、業務に必要な費用を「指定管理料」として支払い、公民共同企業体はこれを原資として水道事業に関する業務を行います。
 将来的には水道料金の減収が見込まれ、施設の維持管理や更新に要する費用は増額が見込まれていますので、いずれは料金水準の見直しが必要となります。平成27年度に作成したアセットマネジメント(資産管理)では、全ての水道施設を法定耐用年数の1.5倍で更新しても、40年後には現在の2倍近い料金が必要という試算結果が出ています。
 もちろん、全ての施設を現在の規模で更新する必要はないと考えますので、上水道事業基本計画では重要度の高い施設から優先的に更新を行うこととし、料金水準の見直しも計画の実施状況を踏まえ、平成32年度以降に検討するものとしています。
 公民連携では民間の資金も投入されることから一般的には経費の削減が見込まれますので、直営を継続した場合に比べ料金の値上げ幅の縮小や値上げまでの期間延長などを図れる可能性もあります。
 いずれにしても、水道料金については上水道事業基本計画の実施状況や経済情勢等を踏まえ、総合的に小諸市が判断していくことになりますので、単純に公民連携に伴い水道料金が値上げされることはありません。ただし、将来的に水道事業の運営に必要と思われる新規事業や追加業務が発生し、これを公民共同事業体に委託するケースも考えられ、その財源を水道料金の値上げで補うといったことは考えられます。

 

Q10:これまでどう取り組んできたのか?

包括的民間委託の検討

 小諸市では、事業の効率化を図るため平成24年度から公民連携手法の検討を始め、当初は窓口や検針・徴収などの業務を包括して民間に委託する「包括委託方式」の検討を進めてきました。包括委託方式は、長野県内でも多くの事業体が実施していることから先進地視察なども行いながら調査・研究を進め、平成26年度からの実施を目標としました。しかし、同時期に旧御牧ヶ原水道の統合が計画されたことに伴い、同時進行による業務のトラブルを避けるため、包括委託についてはひとまず先送りとしました。
 統合関係の業務が落ち着いた平成28年度に包括委託の再検討を開始しましたが、当時の包括委託は、窓口や検針、閉開栓、徴収業務などを中心とするケースが多く、小諸市の規模においてこの方式で大きな費用対効果を見込むことは難しい状況でしたが、将来的に委託業務の範囲を広げることで費用対効果を拡大できると判断し、当初の委託開始目標を平成29年度に設定しました。しかし、包括委託はあくまで「業務の委託」であり、既存の民間企業に「仕様発注」することから緊急時の対応等には限界があり、市の職員が減ることによる対応力低下も懸念され、こうした点は引き続き対策を検討する必要がありました。

上水道事業基本計画の策定

 平成26年10月から将来の水道事業の基本方針を定めるため小諸市上水道事業基本計画の策定に着手し、平成28年度には「上水道市民懇談会」や「こもろ水道シンポジウム」なども開催し、使用者からの意見も伺いながら計画を策定してきました。
 平成28年度末に策定した小諸市上水道事業基本計画では、運営面の課題については「公民連携」と「広域連携」を中心に検討を進めるものとしました。

公民連携による水道事業運営の共同研究

 平成28年12月に小諸市水道事業独自で行っている事業提案制度に基づき、総合水事業会社である水ing株式会社(本社東京)と「小規模事業体における公民連携による水道事業運営」について共同研究を行うこととなりました。包括委託方式についても、緊急時の対応体制なども含め同研究の中で再検証しました。
 平成29年9月にまとめた共同研究の結果報告書においては、行政の関与が明確となる「公民共同企業体における包括委託方式又は指定管理方式」が現状における効率的かつ現実的な手法であると結論づけました。

厚生労働省の支援による事業検証

 公民連携の手法は公民共同企業体による運営が現実的であると判断しましたが、小諸市のような小規模の事業体における導入事例がないことから収益性や継続性の研究がさらに必要と考えました。そうした中、厚生労働省で行っている「水道事業官民連携等基盤強化支援」事業に応募したところ、平成29年度事業での採用をいただき、第三者の視点から公民連携事業について検証を行っていただきました。財政面についても、従来の直営体制を継続するより効率化が図れ、かつ公民共同企業体もある程度の収益が見込めるものと判断されました。

 

Q11:公民連携で水道事業の問題は解決するの?

 残念ながら公民共同企業体で業務運営を行っても、小諸市の水道事業における根本的な問題は解決できません。
 Q2でも触れましたが根本的な問題は「財源不足」であり、「収入額」と「必要額」のバランスが取れていないことです。財源が十分であれば、どのような体制であっても安定的な経営ができますが、実際は大きくバランスが崩れており、今後はさらにそれが大きくなると見込まれています。
 財源に関してはQ8のとおりで、今後必要と考えられる財源の全てを水道料金に反映させることは現実的ではないと考えており、そうした状況に至らないよう今できる取り組みのひとつが「公民連携」であると考えています。
 現在の状況からは、いかなる運営方法を持ってもいずれは財源の不足から水道料金の値上げが必要になると考えられ、公民連携の取り組みも直接料金値上げ等の抑制につながるわけではありませんが、現行の体制を続けていくよりは様々なリスクの軽減を図れるものと考えます。
 水道事業を取り巻く環境はさらに厳しくなっていくことが見込まれており、今後の水道事業は使用者の皆様と一緒に考え進めていく必要があると考えます。小諸市では上水道事業基本計画に基づき、引き続き課題解決に取り組んでいきますが、使用者の皆様にも水道事業に関心を持っていただき、市民懇談会をはじめとする意見聴取等にご協力いただきますようお願いいたします。

 

【参考】仕様発注と性能発注
仕様発注:発注者が発注の内容や方法について詳細な仕様を決定し発注する方法で、受注者はこの仕様どおりに業務を実行することになります。仕様が明確に定められていますので一般的には価格による競争が行われます。
性能発注:仕様発注では民間企業固有のノウハウや技術力を活かす余地が少ないため、発注者が業務の「性能」のみを決定し、仕様は受注者側の自由な提案により定める方法で、民間企業の独自性や創意工夫が生かされやすく、プロポーザル等による総合評価が一般的です。

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